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Excite ブログ

鳥かごの鳥   

2010年 11月 06日

生まれた時から鳥かごで過ごしてきた鳥は、大空に憧れをもつものなのだろうか?

その世界しかしらず、毎日決まった時間に決まった量の餌をもらい、決まった景色をずっと眺めて生きていく。

幸せとは言えない気がするよ。

もしその鳥に、誰よりも高く飛べる翼があったり、誰よりも速く飛ぶ能力があっても、鳥かごの中じゃその力は発揮できないし、自分自身も自覚すら出来ない。

ただひとつ言えることは、鳥かごの中にいる限り、餌に困ることはないということだ。
食べ物がなくて飢え死にすることのないメリット。

外敵から檻で守られ、大きな鷲に襲われることも、猫が突然襲い掛かってくることもない。
警戒心を捨てて生きていけるメリット。

静かに飼い主の言いつけを守り、逆らいさえしなければ命を保障されて生きていける。

大きなメリットが沢山ある代わりに、本来の鳥の生活をすべて失うこことなる。

きっと生まれつき飛ぶことが出来ない鳥や、飛ぶことが苦手な鳥、それから狩りが不得意で餌を自分で探せなかったり、邪魔くさいと思っているような鳥には鳥かごでの生活は天国かも知れない。

しかし、飛ぶことが好きで好きでたまらない鳥にとってはストレス以外のなにものでもないんだろうな。

俺は、鳥かごで過ごしてきた23年を悔やんではいない。
まだ未熟な翼しか持っていなかったし、その翼でどこまで飛べるのか全くわからなかった。
餌のとり方も知らなかったし、餌がどこにあるのかも知らなかった。

でも、ここにきて急に鳥かごでの生活が窮屈でたまらない。
鳥かご自体がだんだん狭くなってしまったのか?自分自身の体が大きくなりすぎたのか?とても窮屈で息苦しいと思うようになってきたんだ。

そろそろ鳥かごから出て、あの大空に羽ばたいて自分自身の翼でどこまで高く、どのくらい速く飛べるのか確かめてみたくなったよ。

外敵がうじゃうじゃ、いつも誰かが狙っている世界。餌も待っていれば誰かが運んで来てくれるということのない世界。
確かに厳しい環境が大空には待っている。

これからもっとそのことを実感するだろう。
もっと小鳥のころに大空に羽ばたいた方が若さを武器に無謀なチャレンジが出来たかもしれない。
その方が世の中の怖さにに怯えずに生きていけたのかも知れない。

今は結構大人になった鳥、世間をある程度知ってしまったからこそ出来ないチャレンジなんかもあったりする。
しかし、そんなことでは大空に高く舞う鳥にはなれない。

経験という力と、実績という力、それに大きな覚悟を力に頑張っていかなきゃいけない。

クリエイターという鳥は絶対に鳥かごではその力は発揮できない。
そのことを証明するためにも、鳥かごを抜け出し大空高く飛び立つことで本当のクリエイターになろうと思う。

誰からも縛られず、誰のものでもない鳥、そんなクリエイターに俺はなるよ。
そして、自由に飛ぶ鳥を見て、逆に人間が憧れ、「俺もあんな風に飛んでみたい」って言われる存在になれたら最高かもね。

羽ばたくよ。

# by keijiinafune | 2010-11-06 14:46

 

繋がり   

2010年 11月 02日

人と人との繋がりって本当に大事だと思う。

先日、世間へ「カプコン退職」の案内をさせてもらったあと、いろんな人からメールを戴いた。
かなりご無沙汰の人も多く、驚き、心配、励まし、祝福といろんなメッセージのこもったメールで本当に有難かった。

ここ数年は、カプコンの立て直し期間で集中して制作、組織運営、戦略、マネージメントと内部中心に仕事をしてたから、外部の人との繋がりが希薄になりかけてたかもしれない。

カプコンはなんとか改革出来たし、自分自身の使命は果たせたけど、なんだか歪な部分はあったんだよな。

「辞める」ってことで、今まで見えなかった部分とかが見えてきたよ。
やらなきゃいけないこと、やってはいけないこと、良い人、悪い人、本当の自分。

盲目すぎたと思う。
気付いて良かったよ。 辞めなきゃわからないってのは情けないけど、今後はもっともっと繋がりを意識して、カプコンだから付き合ってくれる人より、カプコンじゃない俺でも付き合ってくれる人を大事していくよ。

今後は、カプコンにいた頃ほど忙しくないと思うんで、少し余裕をもちながら仕事していく予定。

新しい道を歩みはじめたけど、なんだかワクワクしてきたよ。

# by keijiinafune | 2010-11-02 23:59

 

太陽   

2010年 10月 29日

対人関係において、人間には大きく2種類の分類に分かれるものがある。

人に接して、相手に元気を与えることの出来る「陽」の力を持った人間。

人に接して、相手の元気を奪い、ネガティブな気持ちにさせる「陰」の力を持った人間。

もちろんどちらでもないって人もいるが、この2種類に分類される人間でリーダーに向いてないのはどちらだろう? もちろん後者に決まってるよね。

世の中には、そんな後者でもリーダーやってる人はいっぱいいる。

そんなリーダーのいるグループが辿る運命は明白である。

リーダーがしなければならないことの大半は、みんなのモチベーションを維持し、みんなに安心感を与え、みんなに「元気」になってもらうことだ。

そうすれば、自ずとそのグループは輝き始める。

リーダーはみんなの「太陽」なんだ。
太陽の力と光と暖かさで、グループ全体を引っ張っていくものなんだ。

雨雲に厚く覆われても、台風が吹き荒れても、太陽はその強烈な光で輝き続け、嵐が去ったあとを、それに耐えた人々の希望となって優しい光を注ぎ続けるものなんだ。

リーダーと一緒なら、きっとまた輝いてくれる。 必ず陽はまた昇ると思わせてくれるものなんだ。

最近、俺に太陽の光は注がれているのか? そんな疑問が浮かぶ。
何年も台風が吹き荒れ、じっと耐え続けた。雨雲が少し和らぎ、陽の光が見えそうになってきた。
でも、そんな状態で結局変化は起きないままだ。

で、ふと気づいた。
俺が輝いているんじゃないか?俺が太陽なんじゃ?
太陽は太陽に照らされてはいないんだ。
太陽は周りが真っ暗だから存在意義があるんだ。
太陽はみんなのためにそこにあるんだ。

俺が太陽なら、太陽の優しさなんかに期待してはいけないし、周りの闇に打ち勝つように明るく輝けばいい。
そうすれば、みんなが喜んでくれるんだ。

「稲船さんと話をすると、元気な気持ちになります。頑張ろうと思います。」
昔からいろんな人に言われた。

嬉しかったけど、あまり深く考えていなかった。

自覚しなきゃいけないんだよな。

俺は「太陽」を持っているということを。

その太陽を必要とする人たちはいっぱいいる。 その人たちに輝き照らすことが俺の使命でもあるんだということを。

もちろん太陽が嫌で、日陰にばかりいる人も存在する。
そんな人は日陰に隠れて、太陽が沈むのを待てばいい。
太陽はそんな人たちのために輝いているのではない。
太陽は、太陽を待ち望んでいる人のために輝き続けているんだと思う。

自覚するよ。

「太陽」の力で俺は立ち上がるよ。

# by keijiinafune | 2010-10-29 17:23

 

信頼   

2010年 10月 26日

今月は俺たち夫婦の結婚記念日がある月だ。
17年。 もうそんなに?って感じなんで、結構年月は早いよ。
良いことばかりでは無かったけど、なんとかここまでやってきたよ。

元々他人の二人が仲良く暮らすって本当は難しいことなんだと最近特に実感してる。
なぜ? そりゃ、愛とか思いやりとか、相手に対する理解とか、いろんな要素は夫婦には必要だからね。
でも、一番必要なものって、「信頼」なんだと思う。

「信頼」って、元々肉親には基本標準装備されているもの。もちろん例外もあるけど、ほぼみんな付いてくる。
でも、他人には「信頼」自体オプション扱い。 他人を「信頼」するためには努力が必要。

夫婦に限らず、人間生きていくにはこの「信頼」は不可欠だ。

友達、先生、上司、部下、取引先。 みんな信頼がないと上手くやっていけない。

夫婦といえども、この「信頼」を継続していかなくては続かない。
「信頼」がなくなった時、それは別れを意味する。

「信頼」の継続に努力する。 どんな?
まずは、「信頼」してほしい相手に対して、自分自身がどう考えるかだ。
相手を疑って、相手を信用せずに自分だけが信用されたいなんて考えていないかな?
相手が信用してくれたら、「信頼」してやる。
そんな考えでは、絶対に他人の「信頼」は得られない。断言する。

相手が踏み込んでこないのは、どんな上手くやっても見えてしまうものだ。
少なくとも俺は見える。
天才詐欺師ならいざ知らず、普通の人には無理だ。ばれるよ。

「信頼」を得るには、絶対に飛び込まなくちゃ。
飛び込んで、相手を信じれば「信頼」の扉は少しずつ開く。

開いたら、さらに飛び込む。

そうすれば、いい友達、いい同僚、いい上司、部下、いい夫婦になれると思う。

しかし、「信頼」には「裏切り」という対の存在がある。

なぜ、知らない人を無条件に「信頼」できないのかは、この「裏切り」の存在があるからだ。

「裏切り」は本当に恐ろしいほど「痛い」 だからみんな避けたがる。みんな「裏切り」にあうくらいなら、「信頼」なんていらない。なんて人もいる。

でも、そういう人は自分自身に対して弱すぎると思うよ。

痛い目にあいたくないより、「信頼」に囲まれて気持ちよく生きた方がいいんじゃない?
痛い目にあいたくないから、「信頼」を避けていると、誰も本当の「信頼」を向けてくれないよ。

自分を守り過ぎるから、相手は離れていくんだよ。

俺は「信頼」しないけど、お前は「信頼」しろ。 身勝手の極致だ。

社会で長く生きてると、そんなことはしょっちゅうある。
そんな生き方をしている人には絶対に「幸福」はこない。

元々他人なんだ。 いろんな価値観、好き嫌い、考え方、趣味趣向、長所短所が存在するよ。
だからこそ、相手を知ることで、自分自身の人間性を広げる方向に結び付けられるんじゃない?

自分自身の価値を相手に押し付けるだけでは、相手も自分も不幸になると思う。

17年も一緒に居られた意味、それはお互いを「信頼」してきた証。

夫婦だけじゃなく、友達関係だって、仕事だってみんな一緒だと俺は思っているよ。

「信頼」のある世界、そんな世界で生きていかなきゃ、虚しいと思うよ。

世の中は99.999999999999999999999...%は他人なんだよ。
だからこそ、「信頼」を意識して暮らしていきたい。

そう思わないかい?

# by keijiinafune | 2010-10-26 11:51

 

善と悪   

2010年 10月 15日

善と悪って、ハッキリと分けられるものなのか?

自分自身、いつもこの大きなテーマに向き合っている。
この「善と悪」が自分にとっての人生の課題なのかも知れない。

ゲーム作ってて、初めてコンセプトを考えたのが「ロックマンX]だったと思う。
世界観設定、キャラ設定、ストーリー、シナリオ。俺自身がやった。

当時、俺はキャラデザイナー。 コンセプトはプランナーの仕事だった。
でも俺は構わず自分でやった。やりたかった。

エックスという絶対的な「善」、シグマという絶対的な「悪」を設定しておきながら、シグマにイレギュラーハンター最強という「善」の過去を置き、ウイルスによって「悪」へと染まる運命を用意した。
同時に、ワイリーに造られたゼロは「悪」の最高傑作、同じくワイリーによって仕掛けられたコンピュータウイルスによって殆どのレプリロイドが「善」から「悪」へと変貌してゆく中、ゼロの「絶対悪」はウイルスによって逆に「絶対の善」へと予期せぬ変化をとげる。

「善」と「悪」が単純に区別出来ない構図の中、エックスは「悩む」という他のレプリロイドには無い特徴により、この世界を救うべく戦う。

エックスの悩みは俺自身への悩みでもあるのかもしれない。

それから、「鬼武者」という作品では、信長に謀反を起こす明智側に主人公を設定し、「善」と「悪」を単純には置いていない。 鬼という、本来の「悪」もこの物語では「善」にも見える。

「ロストプラネット」はもっと分かりやすい。 地球の滅亡を前に人類が移住出来る惑星に降り立ち、先住民であるエイクリッドをまるで侵略者のごとく惨殺していくストーリー。
地球側に立てば「善」も、惑星の先住民からみれば「悪」、どちらが正しいなんて単純に決められるものではなく、その立場によって変化するもんだ。

俺がまだ未発表のタイトルにもいくつもこのテーマを盛り込んで、コンセプトを作っている。
「善」に見える奴ほど「悪」の可能性は高い。 「悪」に見えたって本当は「善」かもしれない。
その境目には、人間が持つ「欲望」が潜んでいる。

俺は自分自身にもこのテーマを課しているのかな?なんて思うことがあるよ。
日本のゲーム業界を悪くいい、危機を訴え、日本人ゲーマーからみれば「絶対悪」だ。
でも、時間が経ち、本当の危機が訪れた日本でもずっと俺は「悪」のままなのか?
「善」に変わることは絶対にないと言い切れるのか?
もちろん、今その答えが出るわけではない。

「悪」と決めつけて、何が起ころうが頑なに「悪」と言い続けるのは勝手だけど、世の中はそんな単純なものではないと思う。
今、みんなが見えてる部分ってほんの表面だけだから、俺が何を考え、何に影響されて、どんな信念で生きていることなんて少しも見えてないかもよ。

逆に「善」と思い込んでる何かがあるんなら、少し疑ってみるのもいいかも?
きっと世の中のもっと深い部分が少し見えるはず。

人生経験って、本当にクリエイティブに役立ってると俺は思う。
もっといっぱい経験積まなきゃね。

# by keijiinafune | 2010-10-15 19:46

 

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